神子。
 
 私はね。
 
 ずっと、貴女を見てきた。
 
 私が、私でない時からずっと。
 貴女が、貴女でない時からずっと。


 前の神子の時。

 私は、八葉が羨ましかったんだ。
 ふふふ、おかしいでしょう?
 龍が人を羨むなんて。
 しかも、私の神子の八葉を。

 でもね、本当に羨ましかったんだ。


 貴女に、私の声は届かない。
 鈴の音しか、届かない。
 私は、貴女に触れられない。
 龍の手に人は小さすぎるから。

 八葉のように、貴女と笑い合うことも。
 手を取り合うことも。
 口づけを交わすことも出来ない。


 私は、龍の身がもどかしかった。



 だって、私の神子なのに。
 

 何故、私は声を届けられない?


 何故、私の神子に触れられない?




 私の・・・。
 ・・・・私の神子なのに・・・・。




 だから、ね。



 怒らないで?



 本当は、力を失った時。

 人の姿になった時。


 本当は・・・。
 本当は、嬉しかったんだ。


 
 神子に、声が届く。

 神子に、触れられる。

 
 ねぇ?神子。
 私は、願いが叶ったよ。

 人の姿になれた。
 貴女に声が届いた。
 貴女に触れられた。

 
 そして。



 私の体は大きくなったよ。

 八葉たちと同じくらいにね。


 ねぇ?神子。




 今度は、貴女が私を選んで?





 貴女が、私を求めて?






 神子。




 ・・・・・・・私の・・・・・・・・。









 

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